H.A.L.T(S)

依存症の世界であたりまえに知られていることで、Hungry(空腹)、Angry(怒り)、Lonely(孤独)、Tired(疲れ)、Stress(ストレス)の頭文字をとって H.A.L.T(S)(ハルトもしくはハルツ)と言われ(バルスみたいや、笑)、もともとはアルコール依存症の再飲酒リスク要因として広まりました。
実は「H.A.L.T」は英語の「Halt」をもじったもので「Stop」のちょっとかしこまったどちらかといえば公向けな言い方で「Halt」はハルトではなくホールトと発音するんだね。

つまり再飲酒を「Halt」(停止、ストップ)するために気をつけるべきこととして「H.A.L.T」が大事だよ……とまぁ駄洒落になっているわけです(^_^;)

私たちはいくつになっても自分のなかに赤ちゃんを抱えていまして、その赤ちゃんによって動かされているといっても過言ではありません。私たちは死ぬまで「ママぁ〜」と泣きながら死んでいくのです(^_^;)(わかるかな? 詳しく知りたい人はウチにおいでよ!)

……でね、私たちは赤ちゃんかのように、眠いか、腹減ってるか、金ないか、寂しいか、疲れてるか……で、ご機嫌わるくなるし、その悪くなったご機嫌や体調不良を誰かになんとか(よしよし)してもらおうとするんだね。
ソレがさらなる不調を呼び込みうまくいかなさが助長されるの。
手っ取り早く酒でも飲んで酔ってしまえば「H.A.L.T」を感じることなく「Halt」しないで済むわけね。

ちょっと話が逸れますが、著名な某M先生がドリフ診察と揶揄していた、ご飯食べれているか、眠れているか、ウンチ出ているかを確認することはとても大切なことなんですね。

昔から「快眠・快食・快便」て言うじゃないですか。
ここはハズせないことなんだよね。

さて……

アルコールや 薬物常用者の多くは、何かがあるから(もしくはあったから)使用するのではなく、ほぼ自動的に習慣的に使用をしてきていますので。どんな時にどのような理由で使いたくなるか、などという欲求なんてことはほぼ無自覚です。

呼吸するように、ご飯を食べるように、日常の暮らしのなかに、あたりまえの行為としてアルコールや薬物を使用しているのです。

ですから、欲求なんてものを自覚するようなことはあまりないのです。

ところが、欲求というのは、あたりまえに使うことが何らかの理由で阻害されると自覚せざるを得なくなるわけです。今は使えないとか、ここはバレたらまずいとか、たまたま切らしている…、など様々な理由でちょっと我慢しなくてはいけないようなことがあると、欲しくなるのです。  

アルコールや薬物に限らず、様々なアディクションの問題(ギャンブル、SEX、自傷過食嘔吐、暴力、窃盗、買い物、仕事、他)は習慣化され自動的に繰り返されていくということが怖いところです。

そして、つい…、やっちゃうという衝動的で、あかんとわかっちゃいるけど…、という強迫的な行動になっています。

H.A.L.T. は直接的な欲求につながるものというよりは、日常的にあまり自覚できないままのことが多いので、自覚しておくとリスクを減らせますよというものです。

H.A.L.T.以前に、先に述べたように、私達のご機嫌が悪いときというのは、たいていは腹減ってるか、お金ないか、体調悪いか、眠いか、淋しいか…なんですね(^_^;)   

H.A.L.T. はある意味私たちにとっての苦痛を意味します。私達は苦痛緩和のためにいろいろなことをやらかしてしまいます。そういう意味でも H.A.L.T.は私達を不安定にする重要な要因なのです。そして、H.A.L.T.はそれぞれ単独でリスクがありますが、重複したり関連したり置き換わったりするものでもあるのです。

Hungry
単に空腹のことのみならず、Lonelyと関連していて、これらはAngry として感じられたり表現されたりし、慢性的なHungry や Lonely やAngry があるとTired となってしまいます。なかにはひどいうつ状態に陥ってしまうこともあります。
Hungry は私達の判断力を低下させ、イライラを助長し、衝動性を高め、渇望感を助長させます。そして、単に空腹ということではなく淋しさや虚しさが空腹に置き換えられて、渇望感を助長するものでもあります。
ですから、日々の暮らしのなかでたくさん我慢して過剰に頑張るというのはやめておいた方がよいのです。 もちろん、お腹が満たされていると、他の満たされなさも代わりに満たしてくれるので、ご飯も食べずに頑張るというのはやめておいた方がいいでしょう。  

Angry
怒りということですが、怒りというのは二次感情と言いまして、他の感情が隠されていることがほとんどです。多くは満たされなさ(淋しさ、虚しさ、抑うつ、対象希求性、欲求不満)をわかってくれ!というものであることが多いのです。
怒りは、激しい怒りと、慢性的なイライラや不機嫌などに分けることができますが、私達を蝕むものはどちらかといえば慢性的に蓄積されていくイライラです。これは時間の経過とともに怒りから恨みに変質していくことがあります。 やはり、ここでも大切なことは日々できるだけ正直に…ということと、不必要な(理不尽な)我慢をしないということが大切なこととなります。  

Lonely
孤独ですが、物理的に一人であるということよりも、孤立感(誰もわかってくれない、誰にも必要とされない、淋しさ、虚しさ)ということが枯渇感や飢餓感を助長させてしまいます。世界中に一人でもいいから自分のことを分かってくれる存在がいるということが、生き延びていくためには重要なこととなりますが、可能なら自分を応援してくれる人が少しでも多いといいですね。そのためにも日頃からちょっとした弱音を吐ける相手や、素直に助けを求められる相手がいることがいいですね。また、世界中が敵に見えているうちは、なかなか助けを求めるなんてことはできませんので、現実的な味方を少しずつ増やしていくことで、世界への安心感ができていきます。

Tired
私達は何をやっても疲れるわけでして、どんなに楽しいことでも疲れるものです。疲れが自覚できていればそれなりに対応は可能かと思いますが、自覚のないまま疲労が蓄積してしまうと気付いたときには厄介なことになってしまうことがあります。
私達はあまりに疲れたり強いストレス下にさらされると過覚醒状態となってしまい疲れを感じるセンサーが機能しなくなってしまいますので注意が必要です。
ポイントは疲れたら休むのではなく、疲れる前に元気なうちにちゃんと休むということと、何事も一生懸命頑張りすぎないということです。
そこそこほどほどに…ということが大切です。

H.A.L.T.S. の S はStress のSですが、ストレスは日常の暮らしの中に当たり前にあるものです。 ストレスのない生活はあり得ません、ストレスへの対応の工夫が必要です。 つい我慢してしまったり、お酒やタバコやギャンブルやSexで発散しようとしてしまったり・・・ではなく、趣味や小さな楽しみなどをいくつか増やしたり、ちょっとしたことを相談できる人や場所をつくっておけるといいですね。

おまけ
・不安と怖れと疚しさと焦りで動かない!

・簡単・安心・ゆっくり・笑顔 を大切に(^^)v

・美味しい、うれしい、たのしい、ここちよい を大切に(^^)v

・待つということ 「我を捨て、計らいを捨て、希望は捨てず、訪れるを待つ」by 鷲田清一

・求めない 「求めない、すると何かが変わる」by 加島祥造

・受け入れる 「受け入れる、すると運命の流れが変わる」by 加島祥造