パーソナリティー障害の正体

昔々「境界例」として界隈を賑わせていた「パーソナリティー障害」という疾患があります。

最近はパーソナリティー障害と診断されたり、パーソナリティー障害が注目されることがなくなってきました。

たまたま「パーソナリティー」というくらいですから「人格」に問題があるように思われますが、そういうことではなく精神科疾患なのですね。

名称がいかんよね。

……でね、パーソナリティー障害ってのは古典的にはヒステリーに含まれるわけですよ。

ヒステリーは、今では多重人格を含めた解離性障害や身体表現性障害の一形態と言え、それらの多くはPTSDにあらわれる症状でもあるわけです。

かつて「パーソナリティー障害」は養育の問題から引き起こされるものとも思われていた時代がありました。

基本的安全感不全からくる対象恒常性不全と強い見捨てられ不安(ほぼ恐怖)が対人不信となり、逆に対象希求性や承認欲求が増大し、それが対人操作性を帯びたメタコミュニケーションとしてパラドキシカルな試し行動となり、周囲を巻き込んだ問題行動を繰り返してしまいます。

多くは思春期くらいから派手に多彩な問題行動を表出していきます。

自傷、自殺未遂、食べ吐き、オーバードーズ、非行、暴言暴力、異性関係、アディクション………、ありとあらゆる問題行動が行動化され表面化すると言っても過言ではありません。

解離、多重人格、うつ、躁うつ、パニック、強迫、身体化、幻聴、被害妄想……、ありとあらゆる症状が表れます。

かつては精神病質(サイコパス)や非定型精神病と診断されたり、なかには統合失調症と診断されたりしていました。

周囲の熱意と善意と努力が、問題や症状を増幅させていきます。

また、2者関係のなかで問題や症状が増強、増幅されていきます。

対人操作性が極めて高く、関わる人に罪悪感を抱かせて過剰なサービスを引き出す天才です。

周囲は巻き込まれ疲弊消耗し病んでいきます。

基本的安全感不全、対象恒常性不全、強い見捨てられ不安、投影性同一視、スプリッティング、アンビバレンス、強い対人希求と強い対人不信、天才的な対人操作性………などに特徴づけられています。

情にほだされてうっかりかかわってしまったら……まぁ、大変な苦労をすることになるので、かかわらないにこしたことがありません。

とはいえ、最初からパーソナリティー障害がわかるわけではなく、関わっていく間にこじれていき………

気がつくとすっかりやられちゃっていることがほとんどです。

だいたいは薬効かないし(欲しがるけど)、いわゆる精神療法は問題をこじらせていくし………

……てな感じで、かつては精神科医療の嫌われものでした。

そんな精神科医療の鬼っ子扱いをされてきたパーソナリティー障害ですが………

ワタシ、精神病院在職中にはお医者さんが「にしのくん、あとお願いね」と丸投げされ、気がつくとパーソナリティー障害はにしのへ………なんてことになっていた時期があります(^_^;)

というか、面倒なのはにしのくんへ……てなことになっていたわけさ(^_^;)

おかげで凄腕の達人になっていくわけね(*^^*)
………知らんけど(^_^;)

……でね、アディクション問題にも関わっていましたので、パーソナリティー障害とアディクションはとても親和性が高いことがわかっていくのです。

そして、かれらの問題行動は苦痛緩和と生き延びるための手段だったものが、ソレそのものが手段ではなく目的化してしまったものだということがわかっていくのです。

パーソナリティー障害と診断されたり、疑われたりした方々とタフに関わっていくと見えていくことがあり、まずパーソナリティー障害は善意と熱意ある人との関わりのなかで作られてきたもの(こじれたもの)だということがわかってきました。

次にパーソナリティー障害の多くがCPTSDで、虐待、マルトリートメントの被害を受け、後にいじめや犯罪被害など多重の被害にあってきていることがわかってきました。

さらに、もともと発達障害傾向をもっている(当時は発達障害は全く注目されていなかった)こともわかってきたのです。

つまり、かつてパーソナリティー障害と言われていたものは………

発達障害傾向をもっていることから育て難く、マルトリートメントや虐待被害にあいやすいわけで、そのような家族は高EE家族だったり、親に発達障害傾向があり適切な養育を提供されてなかったりするわけです。

こうして普通の(何が普通かはわかりませんが)何倍ものダメ出しを受けたり、いじめ被害にあってしまったり、犯罪被害にあってしまったりし、後の職業や対人関係でうまくいかないことが重なってきているわけです

そう、パーソナリティー障害は発達障害傾向をもち、適切な養育に欠け、特に対人的被害や傷つき体験を重ねてきたCPTSD(複雑性PTSD)と理解することが良いのではないかと思っています。

CPTSDは、うつ病躁うつ病強迫性障害アディクションなど、他の疾患になりすましていることが多く、それは生き延びるために必要だったのです。