臭さ

「臭さ………」

精神科の病気の診断は ICD(WHOによる国際診断規準:精神科疾患のみならず全ての疾患の診断規準)や DSM(精神科疾患の診断・統計マニュアルでアメリカ精神医学会によるもの)に準拠する今どき……、「……臭さ」なんてことを言う人はいなくなりました。

しかし、失礼な言い方ではありますが、精神科関連疾患には病気ごとに「◯◯臭さ」と言われるものがあります。

実はICDもDSMも政治的利権絡みで、なんとも胡散臭いものであり、客観的規準とされるものですら「胡散臭さ」があるのです。

ここでいう病気の持つ「臭さ」はニオイではなく、漏れ出てくる、醸し出される雰囲気というか、なんとなく疑わしいとか、怪しいとか、胡散臭さ……、つまり「◯◯っぽさ」を言いまして、英語では fishy, shady, suspicious などとも言います。

古いけれど、代表的なものが Praecox Gefuhl(プレコックスゲフュール)という統合失調症臭さ、……っぽさで、すね。
ちなみに Gaefuhl は英語の feel に近いので感覚とか感じということですので、統合失調症のような感じ……と、曖昧なものですが、この「臭さ」は案外大切なんだよね。

お会いした際のこちらが感じる感覚が病気ごとに共通の独特なものがあり、そこにはこちら側の疲れ感なども含まれ、さらにカモフラージュや重ね着されているものも含まれてきます。

統合失調症臭さ(……っぽさ)以外にも、躁うつ病臭さ(……っぽさ)、パーソナリティー障害臭さ(……っぽさ)、発達障害臭さ(っぽさ)……などなどいろいろありますが、残念ながらこれらをわかりやすく言語化して説明するのは困難なのです。

さらに、これらの「臭さ」(っぽさ)がわかりにくい方々もおられるわけです。

だからこそ Gaefuhl といわれているのです。

しかし、医療という科学的根拠やエビデンスを大切にしている分野で、そんな曖昧な個人の勘のようなものに頼っていいわけがありませんので、いまや一部の上級職人的達人技のようなものとして都市伝説化されています(^_^;)

とはいえ実は、精神科疾患の診断についてはその歴史と古典をおさえておくべきだと思っています。

そうしないと、今◯◯障害とされている疾患がかつてどのような理解がされ、どのような診断がつけられていて、どういう経緯(政治的背景や利権も含め)で今◯◯障害とされるように至ったのかがわからないからですが、もはやそんなことに興味をもつ方々は稀になってきました(ーー;)

そこをわかっているのといないのでは、病気への理解の深さがだいぶ違ってくるんだよね。

例えば、かつて自閉症はどのように理解され、発達障害はどのように理解され扱われていたか……とか、かつてカタトニー(緊張病)と呼ばれた統合失調症のタイプと自閉症発達障害との鑑別とか関連とかね……。

しかし、診断に理解の深さが必要かどうかは意見の分かれるところです。

……というわけで、私は非科学的と言われてもいまだに「臭さ」や「……っぽさ」を大事にし、どうやって「臭さ」や「……っぽさ」の精度を上げるかに日々研鑽を積んでいるのです(^_^;)

長い経験の積み重ねと知識や技のアップデートの積み重ねが大切なのですが、ま、爺ぃになれば勘も感覚も鈍りますし、そもそもOS古いし、CPU性能低いし、メモリーもストレージも小さいので、もういっぱいいっぱいですな(^_^;)